この夢の続きへ

昨日、4月29日は映画『Lily』のシアターN渋谷での公開最終日でありました。この日は、何か言葉で説明できない特別な気持ちで朝を迎え、16時頃からシアターN渋谷に向かいました。そこで『Lily』を見に来てくれたお客様にご挨拶したいという気持ちが強かったのでしょうか。映画館で『Lily』を見に来てくれた方達とご挨拶したり、話したりして午後の時間を過ごしました。その中で偶然、15時の回の上映を見に来ていた『Lily』の撮影監督・豊田実くんとその家族の皆さんとお会いしました。予期せぬハプニングで、個人的にとても嬉しかった出来事でした。(豊田実くんとは、本当に二人で『Lily』の映像世界を作り上げたので、そんな彼のお父さん、お母さん、家族の皆さんが喜んでくださっている姿を見るのは、彼と働いた撮影時からの色々な事を思い出し、自分の心に深く残るものがありました。)

そんなこんなで時間は過ぎていき、いよいよ最終上映の19:10回の前。僕は『Lily』を劇場で見た事がなかったので、今回は観客の皆さんと一緒に座って映画を見ようと決めていました。そして映画館に続々、ご来場頂いている観客の皆さんの姿をこの目で見ていたら、自然と感動的な気持ちがゆっくり心の中で広がっていきました。そして19時過ぎ、シアターN渋谷の劇場に入ると、劇場内は溢れんばかりの観客の皆様で満席状態でありました。このような中で、『Lily』を上映できる幸せを心の底から強く感じ、もうただ感無量の気持ちでいっぱいで、映画がスタートしました。初めて自分の映画を日本の映画館のスクリーンで見る感動。これこそが今まで僕が生きてきてずっと待っていた瞬間だったかもしれません。

ただ実際、映画を見ている最中は、そんな感動を感じるよりも、映画の反省点や改善点を感じる事が多く、どちらかというと、「あそこはこうすればよかった、ああ、あそこはこうもできたはずだな。これは次の課題として生かそう」…などなど感じながらずっと映画を見ていました。面白いもので、映画公開まで、そしてこうして公開から最終日を迎えるまで、あまりにも速いスピード(自分のコントロールを越えたとも表現できる)の中で過ごしてきたせいか、今まで自分の仕事をゆっくり振り返り、感動をかみしめる、という瞬間はあまりなかったというのが本音です。それはこうして渋谷での劇場上映を終えた現在、余計、強く感じます。『Lily』公開のためにとても多くの仕事をこなさなくてはいけなくて、自分では時間と体力の許す限りの最大限の努力を尽くしてきたつもりでした。ただ今、僕が感じているのは達成感よりも、多くの反省点を感じている方が多いのが事実です。(もちろん達成感も少しは感じています)。自分の最大限で一生懸命やってきたからいいではないか、という理由はプロとしてやっている以上、通用しません。だからこそ、自分の時間・体力に余裕がなくなりできなかった事、そしてトライしてみてうまくいかなかった事、あまりにも忙しすぎて、他の仕事が後手に回った事など、多くの反省点ばかりが目につき、それを感じています。
じゃあ、この一連の経験から後悔しかしてないのか?といえば、そんな事では全くありません。間違いなくこの『Lily』のシアターN渋谷での公開に関しての全ての経験は僕にとって劇的で喜びに溢れたものでした。そういう経験をしていく中で僕が一番強く再確認したのは、やはり”映画”こそが僕にとっての夢そのものであったのだという事なのです。そして今、僕は、この夢の続きが見たいんだ、と心の底から思っています。幸せな事に、映画を見て下さった皆様からも「次回作を楽しみに待っています」との多くのお声を頂きました。
今回の仕事を通し、学んだ反省点を生かしながら、さらにこの夢の続きを見るために、僕は今まで以上にがむしゃらに映画を求め、映画を作っていくつもりです。今、僕が夢見ている映画とは、まだ誰も作った事のない形の究極のラブストーリーを作る事。それは今、僕の頭の中で芽生え始めてきています。『Lily』の劇場公開は、これから他の劇場に移動しながら続いていきますが、さらに次なる大きな夢へ、僕は大きな希望を胸にスタートしていきたいと思っています。

『Lily』という素晴らしい夢のさらにその先へ!!!


それこそが僕にとって、これからいつまでも歩き続いていく映画の道、そのものなのです。


APRIL 30, 2011 映画監督 中島 央

4月29日 -LET’S ALL GET TOGETHER!

『Lily』も渋谷公開、最終日に向けて、怒涛のように進んでおります!

そして来たる最終日、
4月29日 最終回19:10回の上映後、僕もシアターN渋谷に伺わせて頂き、映画『Lily』をご覧になったばかりの皆様と、Q&A(質疑応答)セッションをさせて頂きます!映画に関する質問、製作・撮影・アメリカでのメイキング秘話等など、また映画だけに限らず何でも喜んでお答えしたいと思っていますので、是非、どんどん質問をぶつけて下さい!僕も今から楽しみにこの日を待っています!皆様、29日の最終日はシアターN渋谷でお会いしましょう!

それまで『Lily』のサウンドトラックの中からハイライトとも呼べる、以下のリンクのこの曲を聴きながら是非、気持ちを高めて頂きたい!と思っています。↓

http://superfilmmaker.net/blog/?p=1799

“County Fair” by MASAYASU TZBOGUCHI

from Lily MOTION PICTURE SOUNDTRACK

スペシャル・トークイベント―大林宣彦監督

先週土曜日の4月23日、パンフレットで対談させて頂いた、大林宣彦監督とトークショーを開催しました。大林監督からは前回お会いした際もとても勉強になるお言葉を沢山頂戴しましたが、今回も嬉しい言葉を一杯頂き、これからも映画を作り続けていく勇気を貰いました。一部ですが、御紹介したいと思います。

大林宣彦(映画作家)×中島央(映画監督)スペシャル・トークイベント


APRIL 23, SATURDAY@シアターN渋谷


大林:いやーおめでとう、ホントに面白かった。

中島:ありがとうございます、嬉しいです。

前回の対談の時に「半分しか観てない、それはスクリーンで観ていないから」と、もう一度劇場で観るという約束をして下さった大林監督。約束通り劇場で観て「テレビサイズではなく、映画サイズの映画だ」と言って下さいました。しかも僕がこだわった芝居の部分まで「主人公の喜怒哀楽にすべてが集約している。これが映画」と、評価して下さいました。

中島:本当に嬉しいです。映画という表現にこだわっていて、アメリカの大学に行って映画学科に入って勉強したんですけれども、テレビと映画はずっと違うと思っていたんです。映画的表現とはなにかと突き詰めて考えた上で、やっとはじめて自分のものに出来たんじゃないかというのがこの『Lily』という作品でした。例えば遊園地のシーンは、脚本では「ヴィンセントと彼女が楽しく遊ぶ。ロマンチックな音楽が流れる」と二行書いてあるだけなんですが、映画ではそれをおもいっきり引き延ばして映画的モーメントを作ることこそ映画の真髄ではないかと思うんです。

大林:僕は25才のときからハリウッドに行っていて、16ミリや8ミリの映画を向こうで上映したりしていたけれども。あの当時、ハリウッドの映画学校は、映画科とテレビ科が違う授業をやっていた。映画は「アイラブユー」と言う台詞の間でどこで瞬きをするか、これで演技が違うんだという意図された虚構。テレビは日常のリアリズムで、瞬きも自然に。あなたの演出はちゃんとリアリズムであって、その上で昔ながらの映画であろうとしている。そこが今の若い作家であり、これからの作家であろうとする時に、それは突出した才能になると思います。

中島:今日凄く嬉しいです。ずっと古い映画を観て育って、ヴィンセントの部屋に大好きだった、ゴダールやアントニオーニや黒澤などのポスターを貼ったのも影響を受けた映画への感謝を込めてのことでした。ああいう映画を観て育っているので、やっぱり現代には再現出来ないけれども、自分が受けた影響を自分なりに吐き出したいというのがあります。

大林:ゴダールなんかをうまく肉体にしてますよね。ゴダールというのは、古い映画を良く知っていて学んでいて、今の古い映画じゃ今の自分たちの時代を表現する上ではダメだといって突拍子もない新しいことをやったんだけれども、だから淀川長治さんや手塚治虫さんなどはヌーヴェルヴァーグは認めないと、壊しただけだと。その通りだったんです。でも壊したということは古いことを知っているということであってね、DNAの中にあるのね、古典的な映画までが。で、あなたはそのDNAのところまですっと受け継いじゃってるから、あの極めて形而上学的なゴダールを現代のエンターテイメントとしてうまく活かしちゃってる。

そしてゴダール映画の中でも僕が最も好きなアンナ・カリーナ主演時代の作品の話になると「アンナ・カリーナの映画はすべてラブレター。あなたの映画みたいに(笑)」とすっかり見透かされていました。そして「映画監督が映画を作る理由ってたった一つ。好きな女の為に撮るしか無いじゃん。みんなそうなの」と。

中島:(笑)おっしゃる通りですね。

大林:みんなそうなんだけど、うまくカモフラージュしてね、そんなことありませんって顔してるんだけど、あなたはそんな顔のまんまで撮っちゃったから、正体バレバレで、でもそこが面白い。

中島:ありがとうございます(笑)この映画を作るとき、過去の恋愛で抑えが利かなくなってしまって。かっこわるくていいから吐き出すしかないって追いつめられたときにこの映画ができて。

大林:真実の光の中では格好悪いことが、映画館は暗闇のなかだから出来るんだよ。だから正直にもなるの。人の心も嘘も。あなたは映画館の暗闇を信じているから、恋愛なんて言うこんな恥ずかしいことを、「アイラブユー」って恥ずかしい言葉を、正直に言うから映画も美しいんであって。だからあなたの映画にも感動がある。


この後に頂いた言葉は、この日来てくれた観客のみなさんと共に、僕の心の中の宝物として留めておきたいと思います。黒澤明監督が亡くなられる前に「何度生まれ変わっても映画監督になりたい」と仰ったというエピソードを大林監督は教えてくれました。『Lily』を作り、映画館で上映することが出来て嬉しい半面、思い通りにならないことも多く、ここ数日は正直迷っている部分もありました。しかし、そんなことまで大林監督は見抜いているかのように、「永遠に答えは見つからない。だから、映画はエンドマークをつけるけど、それは次への始まりで、それで次回作を作ろうと思う」と教えてくださいました。

本当に幸福な時間でした。改めて大林監督にお礼を言いたいと思いつつ、次の作品でもっと素晴らしい作品を作って観て頂きたいと、強く決意した日でもありました。

写真提供・編集:アルゴ・ピクチャーズ

23日のトークショー 記事

先週の土曜日、23日の土曜日に開催された大林宣彦監督とのトークショーに関する記事が出ました!

劇場にお越し頂き直接、このトークショーを見られた方も、また見られなかった方も!是非、以下の記事、読んで頂ければ嬉しいです。

僕個人にとっては、この日の大林監督とのトークショーにおいては、もうその監督のお人柄・映画への深い洞察に圧倒されたのは勿論なのですが、監督とお話しさせて頂いた事により、これから自分が映画監督として生きていく上での意識が徹底的に変わった記念すべき日でありました。

先週の土曜日、大林監督とお話しさせて頂いた前と後では、映画監督として見る世界の景色が全く違います。今は今まで以上に果敢に映画を求め、前に進んでいきたい気持ちで溢れています。

エンタメ~テレ最新映画情報

http://eiganavi.entermeitele.net/news/2011/04/lily-6d11.html

♦SO-NET 最新映画ニュース

http://www.so-net.ne.jp/movie/news/?type=show&id=1198

♦CINEMA TOPICS ONLINE

http://www.cinematopics.com/cinema/c_report/index3.php?number=5615

いよいよ4月29日まで!!!

皆様の熱い応援のお陰で、とうとう!

『Lily』も興行4週目に突入致しました!

最近では、震災直後にも関わらず口コミが口コミを呼び、

公開後からさらに動員が増え続け、

あらゆる年代のお客様に劇場においで頂き、『Lily』をご覧になって頂き、

本当に感無量の思いです。

今思えば公開開始から!ホントに!

アッ!という間のスピードで、自分自身ですら追いつけていないんじゃないか!

というぐらいの慌ただしい毎日を過ごしておりましたが…。

そんな『Lily』の公開も渋谷(シアターN渋谷)での劇場においては…、

いよいよ4月29日までとなります!

この機にぜひ、まだこの映画をご覧になっていない皆様に、”恋愛の出会いから別れ、そして再生”を新たな感覚で描いた新しいタイプのラブストーリーであり、

恋の素晴らしさ、せつなさを知っている人なら誰もが共感できるラブストーリー『Lily』を、是非、劇場でご覧いただけますと嬉しく思います!

♦映画『Lily』劇場予告編
http://www.youtube.com/watch?v=QJUNNiBa1kE
 
シアターN渋谷 劇場情報
http://www.theater-n.com/map.html (アクセスマップ)
 
 
映画『Lily』上映時間:毎日
1. 13:10 2. 15:10 3. 17:10 4. 19:10
詳細:http://www.theater-n.com/movie_lily.html

昨日のトークショー

昨日、前回からアナウンスをしていた通り、

昨日23日、初回上映の時に大林宣彦監督にお越し頂き、

上映後、トークショーを行いました。

(なんと!大林監督には既に映画を見て頂いているのに、

この日ももう一度、映画館で皆様と一緒に見て頂きました…!)

そしてトークショーは…、

…大林監督のお陰でとても素晴らしいトークショーになりました。

僕にとって、とにかく感動的な一日でした。

大林監督から昨日、頂いたお言葉の数々を僕は一生忘れないでしょう。

そして、そのお言葉を胸にこれからもさらに頑張っていける!

と、映画監督として新たな希望を得て、

さらに大きな目標に向かう決意、

そしてそれを支える大いなる希望に燃える事ができた記念すべき日となりました。

昨日のトークショーの詳細は後日、改めてこのブログでお伝え致します。

大林監督、本当に昨日はありがとうございました!

ありがとうございました、という言葉では表現しきれないくらい、

本当に心の底から感謝しています!

中島 央

トークショー 完全誌上公開!(2)

昨日21日の夜、シアターN渋谷にて、日本映画界の中で最も期待される若手監督の一人と呼ばれる堀江慶監督(『ベロニカは死ぬことにした』『ローカル・ボーイズ』)とトークイベントを開催させて頂きました。堀江監督の映画を作る監督魂、そしてもう既に10年以上のキャリアをお持ちだからこその、その経験と実績に基づいた質問の数々に僕はとても刺激を受けながらお話しさせて頂きました!以下、木曜日の夜のトークショーを完全収録しております!

堀江慶(映画監督)×中島央(映画監督)トークショー

<学生時代から映画を作っており、自分の会社を設立し、プロデュース、監督、脚本を手がけているなどさまざまな共通点がある二人の対談>

RECORDED ON APRIL 21, THURSDAY@シアターN渋谷 

19:10の回終映後 START!

堀江:僕も低予算で映画を作り始めたんですが、今回はどのぐらいの予算で撮られたんでしょうか?

中島:あまり豊富な予算とは言えない映画作りの環境でした(笑)今回の製作のテーマとして、いかにこの映画を低予算映画に見せないかという事に強くこだわったんです。映画を作っている以上、もっと予算がかかっている他の映画とも同等に普通に勝負しないといけない環境ですから。それは言い訳にならないと思っていました。とにかく予算が十分ではない事を売りにするのが大嫌いだったんです。映画が完成して、最初アメリカで試写をやった時にキャストやクルーみんなで映画を見たんですけれども、映画が遊園地のシーンに来た時に、プロデューサーがとにかく驚いて「この予算でこれだけの映画を作ったお前が本当に信じられない。」って言ってくれて。それが本当に嬉しかったです。

堀江:僕も22才で600万かけて16ミリのフィルムで撮って35ミリの映画にしたんですけれども、とにかくフィルムで撮ることにとてもこだわっていて。映画祭にも出したいなと思っていたのですが、当時10年前だとフィルムにしないと出せないみたいなことをいわれて。今は時代が違いますもんね。

中島:アメリカでもブルーレイ、DVD上映が最近は一般的ですよね。

堀江:でもこの映画のテーマはあれですよね、非常に監督だと誰もが自分のこと言われているようで途中で僕は気分がガタガタっときたんですけれども(笑)

中島:この映画を作る前に、今回だけは絶対に自分の言いたい事で全てを満たしている映画でないといけないと強く思っていたんです。色々と脚本を書くんですけど、そういう物語っていうのはなかなかそう簡単には見つからない。苦労して『Lily』の脚本を書き上げた時、これこそが僕が今まで探して探して探しまくった上で、とうとう見つけた物語だ、と心から感じたんです。あの充実感は何物にも代えがたい喜びでした。それだからこそ、絶対に何があってもこの物語だけは伝えたい、この映画だけは作るんだっていう、もう強迫観念に近い感情でこの映画を作っていましたよね。

堀江:たぶん監督っていつ書いてるんだってイメージがあると思うんですけど、実際は意外とこの映画みたいですよねっていうのがリアルとしては当たっていて。締切まで一週間だったら、間違えなく残り1日しかやらないんですよね。一週間全部やればいいんですけど、だいたい4日ぐらいは遊んでますね(笑)あの悩んでる間ってなんなんだろうって思うんですよね。

中島:そうですね(笑)確かにそういう所はあるかもしれません。あと、確かに主人公に脚本家を選んでるんですけれども、なるべく他の人達皆に共感出来る様な話にしたいと思っていて。確かに脚本家にはライターズ・ブロックみたいのがあって何も出来ない時がある。でもそれは他のどんな仕事をしている人でも共通点があるんじゃないかと思っていて。どんな人でも何かにぶつかって、いくらもがいても仕事が進まなくなる時が絶対にあるはずだと思うんです。そういう誰もが共感できる感情を表現したいと思っていました。それを感じてもらえるような話作りっていうのは心掛けていましたよね。これはもともとは自分の体験談として書き始めたのですが、単に体験談では終わりたくないというか。『Lily』を見ている人とつながりたいんだ、という強い気持ちがありますね。

堀江:浮気も体験談なんですか?リミットがあったのに浮気したっていう(笑)

中島:そこはご想像にお任せします(笑)あれも『Lily』を映画的にどう面白くするというかという事を考えて作ったストーリーラインです。以前、この映画を見た人で「これは浮気についての映画だ」と言った人がいて。僕は普段、人の感想に一喜一憂しないタイプなんですけれども、その意見だけは、この映画を作っている者として、非常に馬鹿げた感想だなというか、あまりにも表面的にしか『Lily』を見ていないなと思ってしまったんです。この映画をしっかり見ていれば『Lily』はそんな浮気についての物語ではないのは一目瞭然です。あのヴィンセントの行動は人間が犯す間違いの象徴なんです。人間、追い詰められて何か問題にぶつかると自分を顧みずに周りに答えを求めてしまう。自分の人生を壊しているのは、実は言うと自分自身であるという事に気づかずに、どうにか周りにすがりつき問題を解決しようとした時に必然的に間違いを犯してしまうっていう。その象徴としてあのストーリーラインを入れたんです。エゴイスティックに生きすぎた主人公のメタファーとして。

堀江:僕自身はなんにも書けなくなったという経験はないんですが、僕の場合は、あきらかに力をぬくっていう瞬間が合って。エンドマークまではつけられるんですが、なんか後一回直せばというところで安易な答えが見つかってしまう。今回はこれでいいやってことが何度か合って。この闘いがいつもあります。制約がある時にエンドマークを付けてしまう。それにいつも後悔してしまいます。でも書けなくなったということはなかったんですよね?

中島:僕にもそういう時はあります。それが一番ひどかったのが、『Lily』の脚本を書く前でした。この映画の前は完全に真っ白になってしまって。特に辛かったのは予算など制約がある中で映画を作ろうとすると、あれもできないこれもできないになってしまって。机の前に座って書き始めると、頭の中に出てくるのは予算がかかるシーンばかりなんです。でも、制約があるからそんなシーンなんてとうてい書けっこない。じゃあ、一体、僕はどうしたら映画が作れるんだ?って深く悩んでしまって。本当にフラストレーションがたまりました。

堀江:僕も自主映画からはじまっていて、オリジナルで勝負したいという思いが強くて。でもそうなると自分のことを出すしかないじゃないですか。そのとき質問とかもこれお前の事じゃないかって絶対くるじゃないですか。

中島:面白い話があるんですが、ハリウッドで『Lily』を上映した後、キャスト・クルーみんなで打ち上げに飲みに行ったんです。そのときに主役のジョシュ(ヴィンセント役)が「今だから言うけど、撮影前に脚本を渡されて読んだら、すぐにこれは監督の話なんだなって分かったよ」って言うんです(笑)でもそれを最初に言うと役から下ろされるかもしれないからってずっと黙ってたらしくって(笑)その時、初めてジョシュはずっとそう思っていながらヴィンセントを演じていたんだなと分かりました(笑)

堀江:でも彼女が、自分がスランプなのに遊ぼうとか甘えてくるとか悪女のようにみえてきますよね。

中島:そういうところにも女性の可愛らしさを表現したいな思って。僕は逆にそういう女性の行動は非常に可愛らしく思えてしまうタイプなんです。まあでも自分の話をすると、これからはとりあえず女性に迷惑をかけないで生きていきたいですね(笑)自戒の意味を込めて。作品に没頭するという事をあまり言い訳にしないで。

堀江:次回作は?

中島:個人的な想いを通してやるのも良いですけど、もっともっと思い切り娯楽作品の方に振り切れたいという思いもあります。人種、年齢、国境、全てを関係なく誰もが楽しめる映画を作りたいですね。

堀江:いつかハリウッドなんて学生の頃は思っていたんですけれども、最近まったく思わなくなってしまって。逆に羨ましいです、そういうところからはじまって。

中島:ありがとうございます。でも、その反面、アメリカという環境でここまで個人的な物語を作ってしまったっていうこともあって。もし僕がもう一度、個人的な映画を撮ってしまったら、それは独りよがりになってしまいます。今回の作品はアメリカで撮影しているけれども、ある意味、アメリカらしくない映画だと思っています。なので次回は、アメリカという大きな舞台を使ってどこまで大きな物語を作れるんだろうということを積極的に考えていきたいと思いますね。

THE END

写真提供・編集:アルゴ・ピクチャーズ

…堀江監督、ありがとうございました!

堀江監督の映画作りに駆ける熱い思いを感じたトークショーになりました。また同じ脚本家兼監督として、同じ経験を共有していたのが不思議と面白かったし、意外とこれはみんな似たような経験をして、映画作りに戻っていくんだな!と発見した日でもありました!

大林宣彦監督 トークイベント 今週の土曜日です!

先日のブログでも皆様にお伝えさせて頂きましたが、とうとう!
今週、23日の土曜日、『Lily』公開館シアターN渋谷に、
日本映画界の巨匠・大林宣彦監督にお越し頂き、
初回13:10の回の後、トーク・イベントを開催させて頂きます。
今から僕自身、どんなお話しをお聞かせ頂けるかとても興奮しています!
皆様も是非、このトーク・イベントお見逃しないようお願い致します。

APRIL 23 (SAT )@シアターN渋谷

♦『Lily』公開記念スペシャル・トークイベント 
START: 初回13:10の回終映後
大林宣彦(映画作家)×中島央(映画監督)

21日(木)のトークイベント!堀江慶監督

23日の大林宣彦監督のスペシャル・トーク・イベントの前に、

またまた豪華なトークイベント21日の木曜日、最終上映19:10回終映後に行われます。

今回のトークイベントでは、堀江慶監督 とお話しさせて頂きます。

堀江慶監督

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A0%80%E6%B1%9F%E6%85%B6

*Wikipediaより引用

堀江監督は映画監督・脚本家としてご活躍なさっているだけでなく、

なんと俳優としても幅広い活動を続けていらっしゃる、とても多才なマルチ・クリエイターでいらっしゃいます。

(なんと一番最初の芸能界でのお仕事は、テレビ番組『あいのり』出演であったとか!)

また映画『ベロニカは死ぬことにした』、そして最新作『ローカル・ボーイズ』など、

監督作品・作風は多岐に渡っており、その幅広い作家性が堀江監督の魅力として多くの映画ファンの方達に知れ渡っています。

堀江監督も前回トークイベントをさせて頂いた中村高寛監督と同じく、

現在の日本映画界の若手監督の中で最も注目されている監督の一人ですので、

木曜日の夜にトークイベントをさせて頂くのを今からとても楽しみにしています!

皆様、是非、21日の夜は『Lily」公開館、シアターN渋谷でお会いしましょう!

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APRIL 21 (THU )@シアターN渋谷

『Lily』公開記念トークイベント 

START: 最終上映19:10の回上映後

堀江慶(映画監督)×中島央(映画監督)

 

 

トークショー 完全誌上公開!

先週の金曜日、4月15日、『Lily』公開館シアターN渋谷にて日本映画界の若き映画監督のホープ・中村高寛監督(映画『ヨコハマメリー』監督)とトークショーを開催しました。中村監督と僕は同年の生まれで、とても気が合うのはもちろんなのですが、今回のトークショーでは、中村監督のインテリジェンス溢れる質問に心から感嘆させて頂きました。そして改めて映画監督とは、全ての物事に対して深い知識と分析力を持っていなくてはいけない、と中村監督の姿勢を見て勉強させて頂きました。そして何よりも中村監督の!その映画に対する深い愛情も感じれる素晴らしいトークショーになったと思います!では、このブログ記事にそのトークショーの模様を完全誌上掲載いたしますので、皆様にお楽しみ頂ければ嬉しく思います!

中村高寛(映画監督)×中島央(映画監督)トークショー 

RECORDED ON APRIL 15, Friday@シアターN渋谷

19:10の回終映後 START!

中村:ハリウッド映画ということだったのですが、実際に映画を観てみてハリウッド映画っぽくなかったなという風に思いました。アメリカという風景があるわけではなくて、いわゆるラブストーリーとしてみられるというか、日本映画でもありうる話でもあるんですよね。実際は役者がアメリカ人だけど、アメリカ映画としてとらえられない、良い意味で。

中島:作る前に人種や場所を選ばない映画を作りたいと思ったんです。どんな人が見ても面白い映画を作りたいと。アメリカに12,3年住んでいたせいか、アメリカ映画を作りたいという強い夢がありました。でもおっしゃるとおり、アメリカ映画から逆に離れてしまう様な映画になってしまいました。作りたいと思ってもつくれなかったんです。それは僕が東京に生まれた日本人だったから。映画は自分のことを正直にあらわすんだと思いました。

中村:全体はアメリカ映画なんですが、見た時の触感、肌触りは日本映画のようなヨーロッパ映画のような印象を私は受けました。人物の会話劇もミディアムショットで会話劇を進めていくじゃないですか。フランス映画のロメールじゃないですけども、そういう風に感じました。

中島:ヨーロッパ映画がむちゃくちゃ好きで、ゴダールやアントニオーニとかヴィスコンティとかすごく好きなんですけれども、実際映画を作る時に、「ゴダールみたいになって撮るぜ」とは思っていないんです。ゴダールなどは本当にファンだけども、「Lily」には「Lily」にあった撮影方法しかないからそれに対して忠実であろうとずっと思っていたんです。

中村:全編手持ちですよね。

中島:会話のシーンを普通に切り返しで撮っていると『Lily』のような映画の場合、絶対面白くないので、二人の役者を自由に動かしてカメラが追っていくというようにして。とにかく二人の恋人たちの、ただそのありのままの姿を伝えるという事に何よりもこだわりましたね。

中村:どこまでが実体験なんですか?(笑)

中島:(笑)7年間ぐらいつきあった彼女がいて、その人との話を原作にしたんです。この映画を作るにあたっていろいろとありまして。ヴィンセントの話に似ているんですけど、2週間以内に脚本を書かなければこの映画は作れないという状況に追い込まれまして・・・その時に自分に正直な物語を作りたいっていう、開き直った時にこの物語が自然に出てきたんです。でも自分の体験を切り売りするのっていうのは一歩間違えればナルシズムみたいになってしまうというか、なるべくそうならないように客観的に面白い物語を作ろうとはしています。確かに自分の体験談を元にしている映画なんですけれども、それを全面に押し出さない様に気をつけ、あくまでも自分は脚本家と監督として、完全に冷静な視点からヴィンセントと彼女の話を作りました。

中村:最後までこの映画を見ると中島監督の決意表明みたいに感じるところがあったのですが、それというのは、会話のための会話というのがあるじゃないですか。目的は無いのだけどもその場に居るから会話をするという。それと同じで映画のための映画というのも凄くあると思うんですね。映画をやりたい、だから映画を撮るんだという。そういった志とか夢はあるのだけれども実際何がやりたかったのっていうと、なにもないような映画って結構あるじゃないですか。それこそ今のメジャー映画だってそうだし、映画として興行をまわすためだけに作られている。この映画ってそうではなくて、作家として自分が何を言いたいかっていう着地点がある。それが中島監督の第一作で言いたい事だったんじゃないかなと思うんですよね。

中島:ありがとうございます。

中村:なんか懐かしい感じがして。10代の映画青年だった頃の自分の感情が呼び起こされるというか。映画を撮ろうと思ってやると、だんだん悪い事も知って純粋さを失ってしまうじゃないですか。わたしも小さい頃は中島監督のように、ハリウッド映画を撮りたいと思っていたし、自分にとっての銀幕の世界はハリウッド映画であった時代があるから、それを純粋に実現させたのは、本当に凄いと思いました。

中島:中村監督のお言葉を聞いて、やってよかったなと思います。今日は美味い酒が飲めそうです(笑)

中村:この映画を完成させてみて、この映画の中の自分にとっての日本人らしさというのを発見したことは?

中島:アメリカ人のふりをしてアメリカ映画を作っているつもりなんですけれども、自分のルーツを隠す事が出来なかったんです。映画って凄い素直だと思うし、いくら自分が格好付けても何かを嘘ついても、その人の等身大しか出ない。合わせ鏡だと思うんです。

中村:あのカップルが中島監督だと思うと(笑)ラブリーなのはアメリカナイズされていますよね。

中島:ラブリーをつきつめたくなるんです(笑)映画はかなり大げさな表現をしないと伝わらないと思うんです。ジョシュ(ヴィンセント役)とベッキー(ヴィンセントの彼女役)には「とりあえずキスをたくさんしてくれ」といったんですよ。ちなみにあれは僕がよく行ってた遊園地ですね(笑)

中村:次回作も見てみたいですね。

中島:僕は海外の映画を引き続きやりたいと思っているんです。「Lily」を作るまではアメリカ映画を作りたいという夢にだけ貪欲であったんです。でもこうやって一作長編をつくってみてからは、あらゆる可能性に対してオープンでいたいんです。映画を作り続けるということ、それはどこの国でも映画を常に作り続けないと僕たちは映画監督でいられないと思うんです。常にそういうフィルムメーカーでありたいです。

中村:わたしも中国に留学していたんです。いまだに中国関係のドキュメンタリー映画を撮る事があるんですが、そのときいつも自分の立ち位置を考えるんです。自分は他者じゃないですか、中国にとっては。中国に行った時に外国人である監督にどういう事が出来るか?という立ち位置を考えるんですね。その中から作品を考えていくんです。で、中島監督の今回の作品を見た時に、そういう事を超越してやろうとしているのかなと。ラブストーリーという人間の根本にあるような感情の普遍性みたいなものにとりあえず特化しようと思ったのかと。それはまた一つのやり方かなという風に思って、おもしろいなって思ったんです。逆に言うとこのラインで続けていってどこまで行けるんだろうっていうのを見てみたい。

中島:頭の中の映像を出し続けたいという気持ちがある限りはやり続けたいと思いますね。僕たちはフィクションとノンフィクションという別のフィールドですが、中村監督とお会いして映画に対する思いは一緒なんだな感じました。異なるフィールドであれど、良いライバルとして今後も刺激し合えたらいいですね。

THE END

写真提供・編集:アルゴ・ピクチャーズ

…中村監督、誠にありがとうございました!

中村監督のお陰で、本当に最高に楽しい時間を過ごす事ができました!